木楽里 k i r a r i 

林家(りんか)が営む木工房

江戸時代から300年以上にわたり、代々林業を営んできた「 林家(りんか)」の井上林業が、
自ら育てた木でつくる木工房。

井上林業について

私たちが目指すこと

林家を元気に、いい山を次の世代に。

山林への愛着と誇りを取り戻すために

私たちは、江戸時代から300年あまり、この地で木を育て、山林を受け継いできました。
そんな「林家(りんか)」である私たちにとっては特に、豊かな森林を未来へ継承していけるかどうかは暮らしに直結する切実な問題です。

しかし今、日本の森林は大きな岐路に立たされています。林業の採算性の悪化に伴う関心の希薄化などの理由から、手入れが行き届かず放置される森林が増えています。つまり山林所有者である林家自身が、山を所有し続けることに負担を感じ、その価値を見出しにくくなっているのが実情です。

森林の豊かさを維持していくためには、まず林家である私たちが、自らの山林への愛着と誇りを取り戻し、主体的に経営に関わっていく意志を持つことが不可欠だと考えています。
そのためには、まず森林の持つ本来の価値を最大限に高め、活かすことが重要です。
それは、木材資源としての価値はもちろんのこと、先人たちが木々に託してきた想いや、森が育む文化、そこに生息する動植物といった多様なもの。

そのために、私たちが行なうこと

私たちは、まず自らがそれらの価値を高め、引き出すことを実践していきます。

「井上林業」としては、代々受け継いできた育林の知見を活かし、森の持つ多面的な価値を最大限に高める森林管理を追求する。
同時に、「木楽里」としては、木製品や体験サービスを通じて森林の持つ未だ見ぬ可能性を示し、森林への関心の輪を広げていく。

そして、この「井上林業」「木楽里」の両輪の活動から得た知見や経験は、他の林家とも共有して指導的な役割を果たすことで、林家が自らの意思で山林を豊かにしていくことを力強く後押しします。
林家を元気に。そして豊かな森林を次世代に。

「林家」とは?

「林家(りんか)」という言葉は、多くの方にとって聞き馴染みのない言葉ですよね。
「林家」とは山林を1ha以上保有する世帯のことで、農業で言う「農家」と似たような意味です。ここではもう少し広い意味で、「山林の所有者」くらいに捉えてください。

先代から受け継ぐ山づくりの技術

木を植え、草を刈り、枝を打ち、間伐(木の間引き)を行う…こうした丁寧な手入れを木の成長に合わせて繰り返し、時には100年以上の歳月をかけて、ようやく一人前の木に育て上げます。たくさんの木材を一度に出荷することはできませんが、その代わりに、一本一本の品質を高めることに時間と労力を注いでいます。
また、太く立派に育てた「立て木(たてき)」と呼ばれる木を伐らずに大切に残すなど、この地域(西川林業地)に古くから伝わる独自の方法を継承しています。江戸時代に植林を始めて以来、代々受け継がれてきた知恵です。
こうして長い年月をかけて丁寧な手入れを続けてきたからこそ、神社やお寺の建築にも使われるような、最高品質の木材をお届けすることができます。

豊かな生態系と人の営みを両立させる

私たちが育てている山林は、スギやヒノキといった針葉樹だけでなく、ケヤキ、ヤマザクラ、モミジなど、多様な広葉樹も豊かに茂っています。そこには、鳥や昆虫、そして木のうろ(穴)を住処にするムササビなど、たくさんの生き物たちが暮らしています。
このように、山林と人が寄り添いながら育んできた豊かな自然環境を、大切に守り、次の世代へと引き継いでいくこと。それが、私たち井上林業の大切な使命だと考えています。

原木の販売

江戸時代から代々手入れをしてきたからこそ提供できる、一級品の原木です。
伐採などの作業を見学していただくことも可能です。

特殊注文材サービスはこちら

企業・学生の皆様向け研修

山林見学やフィールドワーク、木工体験を通した研修プログラムを用意しております。
・新入社員研修、デザイナー・設計士向けの研修、学生の森林学習など
・林業関係者向け山林見学会
研修のフィールド提供、講師依頼も承っております。

オンラインショップ

長年木を育ててきたからこそ伝えたい木の良さ。本物の木を味わえる木製品をお届けします。
井上林業の山の木で作ったオリジナルの木製品です。

林業・木工イベントの開催

・森林のガイドツアー
・木こり体験、木工体験イベント

林業、木工に関わるイベントを開催しています。

オーダー製作

木の価値を活かしきり、森を守ることに繋がる木製品を製作いたします。
企業・団体のお客様向けのノベルティ、記念品などにも対応できます。

取引実績 2022年〜 (敬称略)

  • 【原木の販売】木桶材

    木桶用の杉材を提供しました。

    ・やまね酒造株式会社
    ・弓削多醤油株式会社

  • 【原木の販売】大黒柱

    設計士、施主様に大黒柱用材の伐採を見学していただきました。
    ・NPO法人西川森の市場所属の設計士

  • 【企業様・学生様向け研修】

    ・株式会社乃村工藝社
    ・株式会社内外テクノス
    ・東京農業大学
    ・東京建築カレッジ
    など

  • 【林業・木工イベント開催】

    幼稚園、保育園を対象とした木こり体験、森林散策

    ・清心幼稚園
    ・あけぼの保育園
    ・ひまわり保育園
    など

  • 【森林空間の貸し出し】

    ・SGEC/PEFCジャパン主催植樹祭会場
    ・某社CM撮影
    ・M様フォトウェディング会場

  • 【講師】

    ・NPO法人サウンドウッズ 木材コーディネート基礎講座
    ・はんのう森林みらい塾

    など

代表紹介

  • 経歴

    1993年生まれ。埼玉県飯能市の西川林業地域で江戸時代から続く林家の後継者。大学卒業後、岐阜県立森林文化アカデミーで林業を専攻。製材所直営の林業部門で森林、原木管理に携わった後、家業を継ぐために飯能に戻る。

    2024年、有限会社創林の代表を父から引き継ぐ。

代表挨拶

私たちはこの西川林業地域(埼玉県飯能市)で江戸時代から代々林業を営んできました。
森づくりは一世代だけでできることではありません。今、木楽里の木製品に使われる木は、私の祖父が、曾祖父が、さらにそれ以上前の先祖たちが植え、育て、脈々と引き継がれてきてここにあります。一方、今自分が植えて手入れをした苦労は、何世代も後にようやく日の目を見るという、何とも気が遠くなるような時間スケールの仕事です。

私のように山を(林家を)引き継ぐ身だと、このような木を介して何世代もの人々が繋がっていくという実感を強く持ちます。だから木を扱う時は、ここまで50年100年と刻んできた年輪、そしてこれまでこの木を育ててきた先人たちの想いを、何とか今ここで形にしてあげたいと思うのが人情です。
それはもちろん、一歩間違えれば非常に生産者都合で消費者のニーズを無視した商品を生み出しかねないことは重々承知しています。

でも、私たちだからこそ気がつく森林や木の魅力、活かし方はやはりあると言いたい。

何代にも渡って山仕事をしているからこそ分かること、この木が生きてきたストーリーはこう伝えたい、この木目の美しさはこうすれば引き出せる、といった林家である私たちならではの視点から見た木の魅力を、普段なかなか森や木に触れる機会が限られている方々にも味わっていただきたい。

私たちは、木楽里だからこそできる木の価値を最大限に引き出すものづくり・森林サービスを通じて、先人たちが木に託した想いが報われるように、そして次の世代にも山の恵みと人の営みを継承していけるように、日々森にかよい木と向き合っていきます。

有限会社創林 代表
井上峻太郎

SGEC/PEFC 森林認証を取得済

「森林認証」とは、木材が持続可能な森林から伐採されたものであることを、第三者機関が審査し認証する制度です。日本では認証森林の面積は森林全体の10%程度、認証制度の認知度もまだ高くありません。しかし欧州では、認証森林が80%を超える国々もあり、木材取引においては認証取得が当然になりつつあります。

井上林業の山林は100% SGEC/PEFC認証を取得しており、基本的に木楽里の木材、および木製品はすべて森林認証材としてご提供いたします。
森林認証製品を選ぶことは、持続可能な森林管理を支援することにつながります。